「世界第2位の仮想通貨取引所FTXが破綻したみたいだけど、仮想通貨って大丈夫なの? これから取引始めようと思ったけど、辞めた方が良いのかな?」

本記事の内容
・破綻した仮想通貨取引所のFTXとは
・仮想通貨市場の状況、FTXが破綻した理由
・仮想通貨の詐欺についてなど
この記事を書いている人:
国内の大手仮想通貨取引所の口座を実際に開設して、取引の経験も1年以上ある筆者の自分が初めての方でも分かりやすく、仮想通貨取引所の破綻について解説していきます。
本記事を読めば、仮想通貨取引所はなぜこうしたトラブルが絶えないか、仮想通貨は危険なものなのかよく分かる内容になっております。
今後もし仮想通貨に投資していこうと考えている方にとっても有益な情報を掲載しているのでぜひご覧になってください。
破綻した仮想通貨取引所のFTXとは?
FTXとはCEOのサム・バンクマン・フリード氏が2019年に香港にて創立した海外の仮想通貨取引所です。(本社はバハマで2022年1月時点で企業価値評価額は320億ドル:約4.4兆円)

日本のFTXではメジャーリーグの大谷翔平選手はCMに起用されていますし、プロテニスの大坂なおみ選手とも契約しています。
FTXは海外の仮想通貨取引所として、取引手数料の安さや取引オプションなどが多数用意されている事で人気を博しており、業界最大手の「Binance(バイナンス)」に次ぐ、世界第2位の取引高となるまでに成長しました。
注意ポイント
しかし、2022年11月11日に破産申請(連邦破産法11条)を行い、事実上の経営破綻となります。
これにより、アメリカの投資家はFTXの宣伝に関わっている、著名人なども同様に責任があると判断し、フロリダ州の裁判所に提訴する事態にまで発展しました。
同社のCEOのサム・バンクマン・フリード氏も2022年12月12日に逮捕され、次の新CEOに抜擢されたジョン・レイ氏がFTXの復活に着手しました。
参照記事:仮想通貨の取引所FTXが経営破綻、創業者が逮捕!大谷選手・大坂選手など広告塔の提訴はどうなる?
FTXが破綻した理由・仮想通貨市場の状況、下落の原因。
それでは、次に仮想通貨の現在の市場状況と、通貨が下落した要因、FTXが破綻した理由などについて解説していきたいと思います。
大手の取引所などが破綻すると、仮想通貨全体の市場への影響にまで波及します。
この章では、仮想通貨業界に内在する本質的な問題や、全投資家に関係するリスクまでを詳しく述べているので要チェックです。
仮想通貨取引所FTXが破綻したきっかけ
先ほども少し触れたように、海外仮想通貨取引所のFTXは2022年11月11日、日本の民事再生法にもあたる米国の連邦破産法11条の適用を申請し、破綻に追い込まれてしまいました。
FTXの経営破綻で、債権者(お金を貸している、預けている側)は100万人を超える可能性もあるとされ、仮想通貨業界でも歴史上最大規模の損失になると言われています。

ちなみにFTX破綻のきっかけとしては、「取り付け騒ぎ」による資金繰りの悪化が原因として言われています。
事の発端は2022年11月初めにFTXの財務状態の悪さに疑いの目を向けられたニュースが流れ始めた所から火がつき、
仮想通貨取引所としては業界で最大手、世界第1位の「Binance」のCEOは「FTX発行の資産を全て売却する」とツイートしました。
「Binance」はFTXの買収も検討していましたが、翌日に買収の話を白紙にして、経営難を恐れた投資家たちが次々にFTXから資金を引き出すようになったのです。
日本のFTXでも、関東財務局が2022年12月10日から業務停止命令並びに国内にて資産の保有命令を発令したことが話題となりました。
おおよそ130社にもなるグループ会社も適用対象となり、いまだに資金を引き出せない顧客は打つ手も無く、引き出し不可能な顧客資産は最大で80億ドル(約1兆1,000億円)も不足している状態です。
ここまでの状況に陥ってしまいましたが、FTXは2021年に、約1,400億円(10.2億ドル)の収益を上げたことを公表しており、CEOのバンクマンフリード氏はFTXの運営について非常にポジティブの発言をしていました。
しかし、2022年11月20日に地方裁判所に提出された書類に、FTXとその系列会社のアラメダリサーチが実際には、合計で37億ドル(約5,240億円)の欠損金を出していたことが明るみに出たのです。
参照元:仮想通貨の取引所FTXが経営破綻、創業者が逮捕!大谷選手・大坂選手など広告塔の提訴はどうなる?
仮想通貨市場の現在の状況、通貨下落の原因
2023年1月現在ビットコインなどの仮想通貨は価格が暴落している真っ只中です。
2022年11月に起きたFTXの破綻はビットコインの下落を加速させましたが、それより以前から価格の下落は始まっていました。
ポイント
仮想通貨全体の時価総額は2021年11月に過去最高の約3兆ドルまで膨れ上がるなど飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、2022年12月では75%以上も下落しています。
安くなったことを理由に「買い時」と判断するのは、時期尚早でしょう。
暴落の原因としては、コロナ禍で追い風となっていた相場環境の終焉と、仮想通貨という仕組みに内在する落とし穴が暴かれた事によると言われています。

仮想通貨の特徴として、株や債券などとは違い保有しても収益は発生せず価値の裏付けとなるような資産は無いです。
利益を得るには、他の誰かに高値で買ってもらうか、もしくは空売り(仮想通貨FX)して儲けるしかありません。
市場のお金の流通量が減れば、必然的に仮想通貨に投資する人も減っていくので、金融引き締めについては打つ手がないのです。
仮想通貨は終焉なのか?
今回のFTX破綻により、80億ドル(約1兆900億円)にも及ぶ巨額の損失を出したとされる騒動に、巷では「仮想通貨は終わったのでは?」と噂されるようになります。
しかし、FTXの破綻は仮想通貨の終焉どころか、規制当局の対応により新たな活力になると言われています。
FTXの破綻によって、確かにイーサリアムやビットコインといった代表的な仮想通貨の相場は大打撃を受けましたが、その後は回復の傾向にあります。
ポイント
破綻はそもそも、CEOのバンクマンフリード氏とFTXが引き起こしたもので、人災となっています。
仮想通貨やそれを支えるブロックチェーン技術に特に問題が起きたわけではなく、仮想通貨自体の信頼性は揺るぎないものと断言していいでしょう。
業界の優等生だったFTXが破綻。大暴落したビットコインは今こそ買いか?
仮想通貨取引所の破綻、詐欺の横行から身を守る手段
仮想通貨取引所の破綻では、もし自分がその取引所を使っていれば大変な目に遭う可能性があります。
何百万もお金を預けていたら、それが引き出せなくなった時のショックはとても大きいものになるでしょう。
他にも仮想通貨などのお金が集まるような所には、詐欺の横行もなくなりません。
この章では、そんな危険を回避するために知っておくべき問題やリスクについて解説していきたいと思います。
仮想通貨取引所のリスク
エコノミストのエミン・ユルマズ氏の話によれば、仮想通貨の中に、詐欺的なスキームがかなりの割合で含まれているとの事。

仮想通貨はビットコインだけではなく、足元で2万種類くらいあります。
また仮想通貨が無数に増える理由としては、仮想通貨の実体は何かのプログラムだからです。
エンジニアがプログラムを書くことが仮想通貨の始まりですが、仮想通貨を生み出しただけでは取引はできず、価格が分かりません。
そこでエンジニアは、マーケットのメーカーである業者にプログラムを売却するのです。
マーケットのメーカーは価格を決めて、募集した投資家に転売すると、ニーズが高まり頃合いを見て取引所へ上場させます。
この流れで取引が可能になり仮想通貨が世に生まれるのです。
問題は、マーケットのメーカーが価格を決める際に、その根拠が乏しいことです。
投資家に売られる前に仮想通貨自体には、実質的な経済価値は発生しませんが、将来的に値上がりの期待を投資家が持つようになると価格が付きます。
そして注目され続けるとそれに伴い値上がりしていくのです。
仮想通貨の発行総数のうちのほんの一部でも、ある価格で購入されると「そのまま仮想通貨の価格」となりますので、少数の投資家たちの取引で仮想通貨の時価総額をコントロールする事だってできてしまうのです。

未公開株の詐欺にも近いスキームと言えるでしょう。
FTXは、ビットコインなどの取引の仲介で手数料を得るビジネスにとどまらず、新たな仮想通貨を上場させるプロセスも用いてかなりの莫大な収益を上げていました。
さらに、FTXはFTTと呼ばれる仮想通貨を開発して上場しました。
注意ポイント
傘下にいるマーケットメーカーに値付けをさせると、詐欺とも言えるほどの価格つり上げを実施したのです。
FTX自体は、FTTを多く保有しているのでFTTが上がるにつれて、同社の資産も増えていく一方です。
しかし、不当につり上げられたFTTには本質的な価値など存在するはずもなく、ただ仲間内で決めた価格に過ぎないのです。
同社は値上がりしたFTTを担保にすると、外部から資金も調達するようになりました。 CEOのサムは調達資金を元手に著名人たちを使って広告宣伝を大体的に始めたのです。
仮想通貨で見受けられる詐欺の問題
2022年12月12日にバハマでFTX CEOのバンクマンフリード氏が逮捕されました。
翌日には、アメリカ証券取引委員会(SEC)が同氏を起訴したことを発表しています。
ポイント
同氏はFTXの顧客資産を系列のアラメダリサーチで流用し、違法な政治献金を行い、財務状況で虚偽または誤解を招く情報を提供したなどの疑いがあります。
とりわけ、FTXの顧客資産を不正流用し、投資会社アラメダリサーチの債務やリスク投資に充ててしまったことが取り上げられています。
アメリカ議会下院の金融サービス委員会がFTXの経営破綻の経緯について解き明かすために、公聴会を開きました。

「問題は昨日今日の出来事として起きたのではなく、数ヶ月前、数年前も前から起きてしまっていた」
と発言し、会社の幹部・経営陣らが長年に渡り顧客データ、資産に自分たちが勝手にアクセスできる状況などが問題とのことです。
元CEOのバンクマンフリード氏は電信詐欺やマネーロンダリングの罪(最大で各20年ずつ)や商品・証券詐欺、選挙資金不正の罪(最大で各5年ずつ)の刑が言い渡される可能性もあるようです。
参照元:仮想通貨の取引所FTXが経営破綻、創業者が逮捕!大谷選手・大坂選手など広告塔の提訴はどうなる?
仮想通貨で身を守る手段
仮想通貨は、残り続けるか消えゆくかに関係なく、2つの不朽の遺産を残すことになると言われています。
一つは、プロックチェーンや分散型台帳技術を新たなデジタル取引システムと位置付けて世の中に確立しました。
FTXのスキャンダルはこの仕組みに対して、全く脅威になるようなものではないです。
またもう一点、金融部門は今後量子コンピューターを使ったサイバー攻撃には全く打つ手が無いところを証明させてしまいました。

例えば、仮想通貨そのものの価値を脅かして長期的に多大なる被害を与えるであろうとされています。
量子コンピューターをハッキングに用いれば、ビットコインの価格下落を導き、損失額だけでも最大で3兆ドル(409兆円)ほどにも達するとされています。
ホワイトハウスの行政などでは、政府機関に対して量子コンピューターのサイバー攻撃からの保護に関して対策するように命じました。
仮想通貨業界や金融業界もサイバー攻撃に対して最もエネルギーを注ぐ必要性が出てきたのです。
FTX破綻後の仮想通貨の今後の値上がりについて
FTX破綻の影響は仮想通貨の価格に著しく影響を与えましたが、今後仮想通貨の行末は意外と楽観的に観ることができるようです。
これから仮想通貨を始める予定である方や、今まで仮想通貨をやってきて今回の下落でもう辞めようか考えている人も、仮想通貨の今後の見通しを把握しておくことは有益ではないでしょうか?
2025年に仮想通貨は上がる?
FTX破綻の余波で、ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨は価格の下落となりました。

仮想通貨自体の価値や、それを支えるブロックチェーンの力は未だ顕在で、そもそも仮想通貨はその革命的な仕組みにより、信頼性が担保されています。
それを扱う業者やそれに群がる人たちが悪事を行うことがほとんどなのです。
今回の下落は、パニック売りが原因で、多くの仮想通貨にとってはもらい事故だともいえます。
ビットコインは下落に転じて、いつが買い時か分からなくなると思います。
ポイント
そのような場合は、下落事に出来高のチェックをしましょう。(売買が成立した取引量)
なぜなら、出来高の急増を伴った下落は底値の可能性が高いと言われているからです。
また、しばらくの間、下げ相場が続くと言われていますが、「次のビットコイン高騰はいつになる?」のでしょうか
「少し先になってしまいますが、2025年くらいだろうと予想します。なぜなら、24年にビットコインは『半減期』と言われるタイミングになるからです。
半減期はここでは詳しく説明しませんが、過去にビットコインが半減期を迎えた年の12年、16年、20年。その翌年にビットコインの価格が上がり、底値から一気に暴騰した経緯があります。
仮想通貨ブームが来るまで、今は資産を温存しておくのが無難でしょう。
参照元:業界の優等生だったFTXが破綻。大暴落したビットコインは今こそ買いか?
仮想通貨の本質的価値とは?
仮想通貨が存在している事に、反対派怒りの感情を持っています。
反対派の意見としては、「仮想通貨の実体が存在しない」事について声を上げているのです。

こうした批判は、仮想通貨の本質を見誤っていると思われます。
米連邦準備制度理事会(FRB)など中央銀行がインフレの現実化に直面するのを拒み、その脅威に対応し始めると、ビットコインなどの価格は下落基調に転じます。
政策立案者や中央銀行による誤った判断や決定に対するヘッジ(リスク回避)機能として、金(ゴールド)の代わりまではいかないとしても、仮想通貨は他の投資や通貨に対するヘッジになるのです。
仮想通貨と金融市場の関係性について
2022年3月にFRBが物価高対応のため利上げ(政策金利の引き上げ)を始めました。
ポイント
政策金利は米国の1年物短期国際など4%代後半まで押し上げていますが、元々FTXの預け入れ仮想通貨は年率8%程度の利息がありました。
利上げの結果安全な短期国債で4%台後半の収益が得られるようになり、仮想通貨から金融資産に資金の移動も起き始めたのです。
金利上昇で打撃を受けたのは、仮想通貨にとどまらず、ハイイールド債や証券化商品などの高いリスクの資産にも悪影響と思われます。
今後金利が上昇した影響で米国経済の悪化、企業の信用リスクが高まると高リスク資産も否応なく価格調整の目に合うことになるでしょう。
高リスク資産を多く保有しているのは、ヘッジファンド、投資信託、ETF(上場型投信)などのファンドですが、高リスク資産の価格が下落を初めると下記のような流れになります。
「高リスク資産の価格の下落→ファンドの顧客は資金を引き揚げる→ファンドは保有している大量の金融資産を手放す」
上記の流れは、金融市場全体の大きな混乱を招きます。
今後の金融市場がどうなっていくのか、常にその動向には目が離せないでしょう。